2017年穂高登山 前編
大学の夏季限定山岳診療所の手伝いに行ってきた。 長野県の上高地から入り、歩いて6-7時間の涸沢ヒュッテまで行く。
東大医学部OBで60年弱!近くもやっている山岳診療所の手伝い。 山への恩返しもかねて、学生のころから20年近く通っている。
日頃の運動不足がたたり、北穂高往復はきつかった。 改めて、普段何気なく動いてくれている体への感謝の思いがあふれてしょうがなかった。
穂高の本格的な山域に入るまえに、上高地の森を経ていく。その間は4時間ほどの平地歩行なのだが、歩く瞑想をするのにちょうどいい。
日本の森は、多様性と調和の体現だ。
雑念を浮かぶに任せながら、頭をしばしお休みしてもらい、体を中心に、体が動きたいように、求めるままに歩き続ける。
シダ植物は、宇宙と交信するパラボラアンテナをこれみよがしに体の構造そのままにつかっていて、素敵だ。
上高地では猿も歩く。
こうして見ると、やはり植物よりも人類に近い生命体だと思う。彼は何を思い、僕ら人類と出会っているのだろう。 上高地には、神降地という別名もある。 おサルさんも、神話ではカミのように高貴な存在だ。動物と人類とのあわいの存在として。
本谷橋での水流。
水は見れば見るほど、生命のようだ。飽きることがない。
植物の中に植物が生まれ、またその中に植物が生まれる。
生命はそうして入れ子状になり、支えてもらいながら、支え合って共存している。
池田学さんの絵を思いだす。
森を抜け、橋を渡り、山を登り、やっと涸沢に到着する。
到着した日。 涸沢ヒュッテでは、偶然にも涸沢音楽祭をやっていた。
都市から遠く隔てた場所で聞く音楽。
山の中では、鳥の鳴き声や昆虫が浮遊する音、水が流れる音や石が落ちる音。そういうものが独自の法則で鳴り続けている。
その中で、人が奏でる音楽を聴くのは、格別な体験だ。
夜のテントは、別の惑星のコロニーのように見えた。
翌日には北穂高に登って下山するのですが、文章も写真も多くなったので、結局、前編、中編、後篇の3部になりました。