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「横尾忠則 寒山百得」展@東京国立博物館

「横尾忠則 寒山百得」展@東京国立博物館へ足を運ぶ。

魂震える作品を生で見れる貴重な機会。

上野まで足を運んでよかったと何度も思う。






3回見る。

1巡目は他の人が見ていてじっくり見れないところは飛ばして、日記のように描かれる絵を意識の流れとあわせるようにして流れの全体として見る。

2巡目でひとつずつディテールも見る。絵筆のタッチもしっかり見る。

3巡目でもう一度見逃している部分がないか、絵の前でここに横尾さんが立って絵筆をとって描いていたのだ、と横尾さんの全身に波長を合わせるようにしながら。

美術館を出た後も、脳内イメージで再現できるようにイメージを転写させるようにしてじっくりと見る。



絵から溢れ出る力、疾走感、スピード感。

人生の道しるべや希望を受け取るように。

寒山拾得に仮託された自由さ、ユーモア。

異界やあらゆるイメージの層を行き来する自在さ。

絵を見ていると、寒山拾得に重ねられた魂がこちらに飛び込んでくるかのようでもある。

寒山拾得の残響イメージが、会場の空間に存在しているかのような感覚に襲わる。

窓から差し込む光のように、空間の中に見えたり、消えたり、という明滅するような体験。



・・・

時代はつながっている。

数十年前の人類の戦争の混乱期、人類の負の遺産、人間の意識を通路としてカルマのように伝わり合っている。負の遺産のお掃除が、行われているのが現代であると感じている。あらゆる善と悪とのせめぎあいの中で、光と影が共に飲み込みあいながら、人類は少しずつ歩みを進め前へ進もうとしている。

そうした時代精神を象徴するかのように、「寒山拾得」というシンボルとイメージがお掃除をしていた。




生きる勇気をいただく素晴らしい展示。

グッズも素晴らしく、わたしは生理と本能の赴くままに、大人買いした。



人間の中にある未知の意識を開いてもらえる横尾さんの新作を、今後も見続けることができることを幸福に感じている。

アトリエに遊びに行った時に、違う「寒山拾得」が描かれていて驚いた。そして、そこにある寒山拾得の実在感、リアリティーにも。絵と実世界とが地続きになっているような。

普通の人間が空洞に見えるほどの、その圧倒的なリアリティーの由来は、魂や霊性の実在なのか。




言語を超えたところで分かり合う道を模索する。

新しいイメージで叡智の世界を語る。

小さな自我の壁を越えて、大きな自己の世界に触れる。

小さな自我を通じて大きい自己へ至り、大きい自己の世界の叡智を小さい自我の世界へと運ぶ。


西田幾多郎や鈴木大拙が「霊性的直覚」と言ったものはなんだろう。

道元が「仏法によって開花させられた仏性を生きる」と言ったものはなんだろう。


世界がどう存在しているのかという謎と、人はどう生きるのかという人生観が交わったところに、芸術のはじまりがある。


横尾作品からは、常識を飛び越えた場所にある愛と自由の叡智を、風雅の誠の世界を、いつも受け取っております。




「横尾忠則 寒山百得」展

東京国立博物館

開催期間:2023年9月12日(火)~2023年12月3日(日)













「横尾忠則 寒山百得」展の関連企画として、「東京国立博物館の寒山拾得図―伝説の風狂僧への憧れ―」というのも併せてみて、すごかった。


横尾さんのイメージを動かした河鍋暁斎の「豊干禅師」。明治時代の天才絵師の作品もあり。


時代がおかしくなってくると、狂気を装うことで正気を保つ。フェイクが跋扈すると、オリジナルは身を潜めてフェイクが淘汰されるのを静かに待つ。


寒山拾得図を介して、「真実を見る目を養え」と、言われているようだ。



特集「東京国立博物館の寒山拾得図―伝説の風狂僧への憧れ―」 2023年9月12日(火)~11月5日(日) 東京国立博物館 本館特別1室(上野公園) https://tsumugu.yomiuri.co.jp/tohaku_kanzanjittoku/














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