「水木しげる 魂の漫画展」@山梨県立博物館
「水木しげる 魂の漫画展」@山梨県立博物館。
横尾忠則さん同様、人として次元の違う水木しげる大先生。霊性が付与された人の営みには、魂が揺さぶられる。
魂のことをここまでわかり尽くして表現し尽くせる表現者はほとんどいない。
水木先生の壮絶な戦争体験も、水木マジックにかかると、昔話のように淡々と進み、個人的な感情を抜いた距離感が、まるで神の視点のようにして描かれている。
水木先生が戦争で死にそうなとき、崖から落ちようとしたが前へ進めなかった。それは妖怪のヌリカベが、立ちはだかっていたからだった。そうしてヌリカベに命を助けられた。というエピソードが好きだ。自伝に書いてあった。ヌリカベへの恩返しのように妖怪の漫画を描き続ける水木先生は、異界との通路、異界のメッセンジャーとしての役割を全身全霊で果たすように漫画を描き続けた、と私は思う。
水木しげるのように、細密画の上にコミカルな漫画を載せ、二つのイメージ世界を魔術のように混合して描く漫画家はおらず、唯一無二。
漆黒の暗闇がなくなった現代、水木しげるが描く妖怪は、人間の心の暗闇の中へと居場所を移しているのだろうか。
水木しげる 魂の漫画展
山梨県立博物館
山梨県笛吹市御坂町成田1501-1
2023年7月15日(土)~9月4日(月)
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