「石川九楊大全」展@上野の森美術館
- inaba
- 2024年7月6日
- 読了時間: 2分
上野に「石川九楊大全」展(上野の森美術館)を見に行く。前期と後期で作品入れ替えという本気度がすごい。ギリギリに前期の古典篇に間に合う。
6月8日(土)~30日(日)【古典篇】遠くまで行くんだ
7月3日(水)~28日(日)【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ

親鸞の「正信偈」(「教行信証」)に始まり、源氏物語、方丈記、徒然草を含めた膨大な古典。書の限界を遥かに超え行く地平。
文字誕生以前。線を引く。染みは形となり、形の力が発生し、文字に磁場が生まれる。見えない世界とサインやシンボルでつながる、聖なる呪術の世界。
のちに、多くの人が文字を共有する事で、文字には分かりやすい形が求められ、文字は明確な形を得た。
石川九楊展では、文字が形を得るまでの旅路を共に歩む。水が流れてつくる川や滝壺、水滴やシミ、渦やうねり。自然現象のあらゆる形態を文字にした。むしろ、自然から「文字」を読み取った、というのが適切かもしれない。
とにかく圧倒されっぱなしだった。現代アートも凌駕する自己と自然との衝突・融合から生まれる未知の世界。古代と現代とが一直線でつながった。
石川さんは書家だけではなく古代文字や書の研究者としての側面もあり、著作(「石川九楊自伝図録 わが書を語る」(左右社、2019年))を読むとその博覧強記にも圧倒されっぱなしだ。
源氏物語を書いた書はすごかった。物語は、モノがたり。「モノ」が語る気配、ムード、磁場、情念。金縛りにあうような衝撃。ゆっくりゆっくり歩きながら一つ一つの作品と場面を読み込む。こんな読書体験?は、初めてだ。
書と文字の世界を壊しているようで、実は巨大に包み込んだ雄大な書の世界観だった。展示を出たときに晴れ晴れしい気持ちになった。身体が聖化されたのだろうか。
ぜひ体感してショックと衝撃を受けていただきたい展示。
中は撮影不可なので、書籍(「石川九楊自伝図録 わが書を語る」(左右社、2019年))から雰囲気だけでも。
宇宙語?
夏の上野は暑いし気絶寸前かと。





これから人工知能(AI)の時代です。しっかりとホンモノを見ないと、フェイクニュース溢れる未来で道に迷います。だからこそホンモノの芸術は不変です。
===========
石川九楊大全
上野の森美術館
6月8日(土)~30日(日)【古典篇】遠くまで行くんだ
7月3日(水)~28日(日)【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ
※前篇と後篇では全作品展示替え
Comentários