劇団イキウメ『人魂を届けに』@シアタートラム
東京行きメインの一つ。劇団イキウメの『人魂を届けに』をシアタートラムに観に行くこと。
魂震える未感覚の芝居だった。
やはり観るためだけに行く価値あるのがイキウメの作品。
魂が削られるようなこと、は誰にも起きる。
そのとき、目に見えない魂には果たして何が起きているのか。
わたしたちは魂という視点を持つことで何を獲得し、魂の視点を失うことで何を喪失するのか。
世界中であらゆる事件が起きる。加害者が、もし自身の魂の被害者だとすると、魂の視点を持たない限りわたしたちは悲劇を永遠に克服できない。
極めて重要で人類にとって普遍的で深遠なテーマを、演劇によって指し示してくれる前川さんはじめとするイキウメの芝居には脱帽だ。
不思議な涙が出た。
いろいろと書きたいことがある。
もっと深めて書き記したい。
ぜひ見に行ってほしいです。
『人魂を届けに』
[作・演出] 前川知大
[出演] 浜田信也 安井順平 盛 隆二 森下 創 大窪人衛 /
藤原季節 篠井英介
[東京公演]5月16日(火)〜6月11日(日)シアタートラム
[大阪公演]6月15日(木)〜18日(日) ABC ホール
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人魂(ひとだま)となって、極刑を生き延びた政治犯は、
小さな箱に入れられて、独房の隅に忘れもののように置かれている。
耳を澄ますと、今もときどき小言をつぶやく。
恩赦である(捨ててこい)、と偉い人は言った。
生真面目な刑務官は、箱入りの魂を、その母親に届けることにした。
森の奥深くに住む母は言った。
この子はなにをしたんですか?
きっと素晴らしいことをしたのでしょう。
そうでなければ、魂だけが残るなんてことがあるかしら。
ところで、あなたにはお礼をしなくてはいけませんね。
母はベッドから重たそうに体を起こした。
魂のかたちについて。
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