湯治で身心を聖化 湯治場は『齋場=ゆにわ=湯庭』
大分県の別府八湯の一つ、鉄輪(かんなわ)温泉。
鉄輪で『かんなわ蒸し通りずむ』が、6月4日から6月30日まで開催。
最終日6/30(日) に「未来の医療としての湯治」@冨士屋一也百ホール という講演のため、鉄輪へ。
●【Event】2024/6/30(Sun):13:00-14:30:≪未来の医療としての湯治≫ -いのちを呼びさます場として湯治を再発見!「かんなわ蒸し通りずむ2024」 @富士屋一也ホール(大分県別府市鉄輪上1組)(Peatix) (Web)
飛行機で向かう途中。雲の絶妙な形に見惚れていたら、あっという間に着いた。
飛行機から見える風景はいつも見惚れてしまう。
鉄輪温泉の柳屋に初めて泊まる。
感動した。
現代版の湯治。
●柳屋 ー別府・鉄輪の湯治宿
地獄蒸しでの朝食。
自分で準備して自分で食べて自分で片付ける。
とてもおいしい。豊かな時間。
素材を蒸すだけで満たされる。
Y字路がある。
A)自分で準備して自分で食べて自分で片付ける。自分でしやすい環境だけが準備されている。だからこそ自分でできる。自分でする人同士が声をかけあう。
B)お金を払いサービスを受ける。誰かにやってもらう。自分の要求と違う。満足と納得がいかない。イラつく、偉そうな尊大な態度で指摘する。スタッフに謝罪させて自尊心が満たされる。お金を払えば払うほどお金と等価交換なサービスが受けられる。
A)は、人間のいのちの力、慈悲を引き出す場
B)は、人間の中にある差別心、分別心、怒り、悪・・・を引き出してしまう場
場の設定次第で、人がどういう行動をするか、無意識に規定されてしまうことがある。
医療も宿泊地も、Aの場の作り方を意識する必要があると思う。
それぞれが持つ自力を引き出し、治癒力を引き出すような場づくり。
求めるものは自分の中にこそ、ある。
人間の深い叡智、優しい慈悲、生きる力。
そうしたものが引き出されるには何が必要なのか?
柳屋さんに泊まって感じたのは、やはり美であり芸術なのではないか、ということ。
柳屋さんのアートワークは、望月通陽(もちづき みちあき)さんで統一されている。
美のトーンが、場の中に見えない一本の筋を通す。そして、霊性を付与する。
自分が最初に望月作品と出会ったのは、「風の旅人」の表紙。「風の旅人」はすごかった。今こそ「風の旅人」のような世界が求められている。風の旅人しかり、柳屋さんしかり、常に未来を先取りしている人はいる。
時間は平等に流れているようで、実は色々な階層の時間が同時に存在して、その階層を渡り歩いているのが正直なところ。
湯治場で、美術館のように絵を探す。
美術館で絵を見るよりも、より深くこちらに入り込んでくるのが不思議だ、
場や空間の中に、気配りがフワフワと浮かんでいる。目に見えない空気中に。まるで地獄蒸しの蒸気のよう。
気配りは、場を感じてみると、よく見えるもの。
それは心の空間と心の空間に空気孔が通ったサイン。
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鉄輪での講演にお越しいただいた方、ありがとうございました。
色々と話をしましたが、
わたしは
『齋場=ゆにわ=湯庭』
と言うことが大事なのではないかと思ってます。
『齊(斉)』は祭祀に奉仕するときの三本の簪(かんざし)を立てて並べている婦人の髪飾り。示は祭りのときに使う机の祭卓。
祭卓の前で祭祀に奉仕することを齋。
“ものいみ、つつしむ” の意味となる。
祭祀に先だって散斎(飲食や行動を慎んで心身を清浄にする)すること七日、致斎(精神集中によって神と交感できる状態を保つ)すること三日、合わせて十日にわたる潔斎が必要だった。
そこから、
『齋場』
が生まれます。
『ゆにわ』とも『さにわ』とも『さいじょう』とも呼びます。
『齋場(ゆにわ)』は、神仏を祭るために、特別に設けられた清浄な場所。いつきのにわ。祭場。
大嘗祭のとき、供物を調えるために設ける建物。
神を招いて、お告げを聞く清浄な場所。
神を祭るために斎(い)み清めた場所。さいじょう。
こういう場『齋場=ゆにわ=湯庭』がつながり、
湯によって古代の天皇が湯で穢れをはらい『禊ぎ』をする行為とがつながっていると、わたしは考えています。
つまり、湯とは、ほんらい通常の身体を、「聖なる身体」へとアップデートすること。
『聖化』する行為。
そのことは、『Health』の語源が、『Holos(ギリシア語)』『Hagal(ハガル)(古代ゲルマン語)』(最初の生命体(宇宙卵cosmic egg):原初神が二つに割れて「父な る天」と「母なる大地」が生じたとされる)から来ていて、『Holos』『Hagal』から、『Health』、『Whole(全体性)』、『Holy(神聖な)』が来ています。
つまり、『Health(健康)』になることは、『Whole(全体性)』を取り戻すことであり、『Holy(神聖な)』心身に浄化することなのです。
そんなことを深く感じてシンクロする旅でした。
鉄輪のみなさん、ありがとうございました~。
心身が疲れたら、また湯治に向かいます!
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