美しいおくすり手帖
KARUIZAWA HOSPITAL WITHOUT ROOF について。
10年以上、東大病院の循環器内科医として心臓の専門的な職に従事してきました。専門的で緻密な仕事の追求は甘美で面白く、どんどん深くミクロな世界へと入っていきますが、自分が着地したい場所ではないと思うようになり、内部でのズレが生じてきました。
乾いた医療現場には心潤す芸術や文化などの生きる力が必要だと思い、医療以外の分野との様々な接点を模索してきました。それは自分の内部のズレを補正する治療行為でもありました。
ただ、もっと総合的な医療を、地域に貢献できる医療を行いたいという気持ちが強くなり、軽井沢に転居しました。
それは、軽井沢が「屋根のない病院」として愛されてきた土地だからです。
「いのち」喜ぶ場の創造の中で、専門の医療職はどういう役割を果たせるのか。
体と心の健康を担い、わたしたちが幸せに生きることに貢献するとはどういうことか。
職員や地域の方々との対話を重ねながら軽井沢病院としても学び成長したいと思います。
わたしがとても尊敬している仕事をされているのが須長壇さん。
軽井沢で、ラッタラッタル(RATTA RATTARR)のcreative directorをされています。
障がいを持つクリエイターが 場に通って創作活動を行い、その創作を専門の支援員(アトリエリスタ)と共に、新たな美の発明と発見を行うように、この世界に美しいものを送り出しています。
作品や製品として生み出されるものは、手に取るものを幸せにし、心を平和にさせてくれます。
「軽井沢 屋根のない病院」プロジェクトの一環として、まず軽井沢病院とRATTA RATTARRの共同企画から、医療と福祉、アートやデザインの分野に、小さく、そして力強い光を灯していきたいと思います。
KARUIZAWA HOSPITAL WITHOUT ROOF
世界に一つしかない、おくすり手帳です。
すべて手作業のため、同じ図柄はありませんし、シリアルナンバーも刻んであり、世界に一つしかありません。
そもそも、人は誰もが世界にひとりしかいないかけがえのない存在です。
生きているだけで、存在しているだけで、誰にも等しく価値があります。
そうした願いを込めた「おくすり手帖」。
不穏な時代の中で、ひとりひとりの人間や存在の多様性と豊かさ、かけがえのなさ・・、言葉で表現すると表現しつくせないことを、アートやデザインの力を借りて、軽井沢から発信していきます。
4月1日より、軽井沢病院にて配布を開始し、少なくとも軽井沢町民の希望者には全員配布したいと思っています。
ぜひお楽しみに。
写真は、RATTA RATTARRや、lagom(御代田)やNATUR terraceのインスタグラムからお借りしました!
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