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ヤナーチェク Janáček

村上春樹さんの1Q84の中で「シンフォニエッタ」という曲が青豆の魂の扉を開ける重要な役割を果たす。

音は、そうして境界を飛び越えて魂の扉を開けることがある。

シンフォニエッタはチェコの作曲家ヤナーチェク(1854-1928年)、最晩年の管弦楽作品。

1Q84の読後以降、ヤナーチェクは春樹さんからの宿題だと自分は勝手に受け取り、度々聞くようにしている。 春樹作品を読む度に、自分は作品を通路として勝手に宿題と課題を受け取り、次の新作までの間に自分の中で内的な準備をする。

ヤナーチェクはチェコの民族音楽や民謡を研究して、民謡の精神に基づく現代音楽の刷新を試みた人だった。 その思いは自分も同じ。 日本の民謡や民話や民間医療や民俗学の中にある、ひとびとの日常的な素朴な暮らしの中から医療的なものを引き出し、現代と接合させたいと思っている。そうしないと、一過性のブームになるだけで、根付かないものになるからだ。根腐れしないように、大地の足元をこそ見ないといけないと思う。建築も土台こそが大事だから。

ヤナーチェクは作品作りに厳しい人で、満足行かないものはすべて破棄したらしく、ピアノ曲は8曲しか残っていないようだ。

「ヤン・パネンカ ヤナーチェク/スメタナを弾く」(1976年 イイノホール,東京)のLPにある、ヤナーチェクの (1)4つのピアノ小品~「霧の中で」、(2)小品集「草かげの小径にて」~第4番「フリデックの聖処女」 という曲は数少ない残った曲。 

民謡のような物悲しく、それでいて情緒に富んだメロディーが、なんとも言えず美しく懐しい。

自分は村上春樹さんから、文学やメタファーの重要性だけではなく、人間の魂のことも多く学んだ。そして、音楽のことも多くを学んだ。 感じる心や、聞く耳というのは、こちらの偏見や思い込みを捨てて、自分の人生を生きながら少しずつ育んで行くものだということを。

(参考)

Janáček: V mlhách (In the mist)  Piano: Rudolf Firkušný (別のピアニストです)

●Leoš Janáček - Sinfonietta (1926)

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