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金沢

循環器学会で金沢に行ってきた。

金沢は食が豊かで、文化や芸術や伝統工芸の層も厚く、素晴らしい都市だ。 加賀藩の前田家が江戸に住んでいた跡地が東大本郷キャンパスで、赤門もその名残だ。だから、いつも前田家とのつながりは感じてる。

自分のメイン発表は、「日本人の死生観(Japanese view of life and death)」という渋いもの。好評だった。多くの方から感想を頂いた。

柳田國男『先祖の話』(1956年、昭和21年)によると、魂が若返るためにこの世に生まれ変わって働くという、魂を若くする思想があり、柳田は「祖父が孫に生まれてくるということが通則であった時代もあった」と述べている。

「先祖」が「子ども」であり、「子ども」が「先祖」。 

子どもを大切にするという感覚の根底には、遠い先祖の霊が子どもの中に立ち返って宿っているという考え方があった。

死は世代を越えてリンクするようにライフサイクルが円環的につながっている。

宗教以前の日本人の素朴な感性であった、というのはセンスいい感性だと思う。

 

金沢では、高校生のころから行きたかった、レコードジャングルに立ち寄る。

熊本にも40年続くウッドペッカーという老舗のレコード屋の名店があり、ジャングルの店主も38年前に行ったことがあるとのことだった。しばし、レコード談議に花が咲く。

レコードは買ったものの出張先では聞けないので、妄想で聞くしかなかった。

MILES DAVISのアガルタは、1975年に来日した時のLIVE版(大阪フェスティバル・ホール)。

ジャケットを横尾さんが描いているので、ずっとLPでほしかったが、やっと買えた。いい思い出になった。

天才マイルス・デイビスと天才横尾忠則との邂逅。

AGHARTA MILES DAVIS 1975

keith jarrettのデビュー盤Life Between Exit Signs(1967)も発掘した。若々しさが瑞々しい。

Life Between Exit Signs keith jarrett 1967

若い時のマイケルジャクソンや、ジャクソン5など。声が美しい。

Music and Me Michael Jackson 1973

Get it Together Jackson 5 1973

Chick Coreaも思わず・・・。

Return to Forever Chick Corea 1972

Hymn of the Seventh Galax (『第7銀河の讃歌』) Return to Forever / Chick Corea 1973

 

金沢21世紀美術館と、鈴木大拙館も、駆け足で行けた。

金沢生まれの世界的な禅僧、鈴木大拙は、西洋と東洋に橋をかけようとした人。 金沢生まれの哲学者である西田幾多郎は、実の子供を多く亡くし、その悲哀から哲学を生んだ人だが、分離や観察を主とする西洋哲学に対抗し、一体化し融和して行く東洋哲学を打ち立てようとした人。西洋と東洋に橋をかけようとした人。

金沢という土地にはとても親近感を感じる旅だった。

旅の途中に、むさぼるように村上春樹「騎士団長殺し」を読んだ。

金沢の風景の記憶の合間に、「騎士団長殺し」の章が音楽のように折り込まれている。

鈴木大拙 「他人の心を知ってどうしようというのか。 大切なのは、自分の心を知ることだ」

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