『Louis Bellson and His Big band』(1977年)
ルイ・ベルソン(Louie Bellson)(1924‐2009年)は1942年から66年間に渡って第一線で活躍した伝説のジャズドラマー。
ツーバス(バスドラムを2台)のドラムセットを世界で初めて考え出したのは、Louie Bellsonが15歳の時だったらしい。すべてのものに「はじまり」があるものだ。なんでも最初の人はすごいし、誰がそのシステムを作ったのかすら考えないほど日常に溶け込んでいる「はじまり」を作り出した無数の先人たちには敬意を覚える。
『Louis Bellson and His Big band』(1977年) ほぼジャケ買いしたLPが最高にかっこよくて、名盤だった。
何度聞いても素晴らしい。
打楽器、パーカッションのリズムは、身体のリズムをふるわせてくれる。
自分は、人間の体には大きく3つのリズムが重なり合っていると、臨床をしていて思う。
心臓のリズム、呼吸のリズム、意識のリズム。
心臓のリズムは、内臓のリズム。植物世界のリズム。
意識のリズムは、脳のリズム。動物世界のリズム。
呼吸のリズムは、息(プネウマ)のリズム。植物世界と動物世界を結ぶリズム。
身体の中にある周期性と、非周期性。それは相補的なものだ。
コンスタントなものと、ゆらいでいるもの。
かわるものと、かわらないもの。
同期と非同期。
坂本龍一さんの新曲も「async」で、非同期、という意味だった。同期があるから非同期があり、非同期があるから同期がある。互いがぶつかりあいながら、補い合っている。
打楽器、パーカッションのリズムは、何かそうした身体に内在するリズムを呼び起こしてくれる。
物体と物体との出会いや衝突により、エネルギーが変換されて音が生まれるというのも、不思議なことだ。
掘り出し物を見つけた時は、本当に嬉しい。これがLPや古本の醍醐味。
自分がこの世に生まれる前に発売された作品とこうして出会えるのが、いつも不思議な気がする。
心からありがたいと思う瞬間だ。
■Drum Duel - Buddy Rich vs Louie Bellson
■Louie Bellson: Drum Solo
■Louie Bellson - 1957 Skin Deep Solo