top of page

あずみきし「死役所」

あずみきしさんの漫画「死役所」という漫画。 すごい漫画だった。正直、引き込まれた。

能の世界の舞台となる、生と死のあわいの話。

人が死んだあと、この世とあの世の中間地点にすこしとどまるとされ(仏教だと49日)、そこであの世に行くか(成仏する)、この世とあの世の間でとどまってしまうのか・・・(成仏できない)、何か振り分け?のようなものがあるらしい、というのは、宗教や国を超えて共通性のある話だ。そうした中間領域での仕分け?を担当する場所としての「死役所」がテーマとなっている。生と死の間としてのゲートとして。

----------

<amazon 内容紹介> お客様は仏様です。此岸と彼岸の境界に存在する、死役所。ここには、自殺、他殺、病死、事故死……すべての死者が訪れる。罪無き者は、天国へ。罪深き者は、地獄へ。あるいは――。“助けたこと、後悔してるんです。…こんなことを考えてる、自分が嫌で…”命を棄ててまで、守りたいものはありますか? 魂抉る死者との対話、待望の第1巻。

----------

この漫画ではいろんな形で亡くなった人が出てくる。 事故でも寿命でも、自殺も他殺も・・・。

必ずしも心温まる話ばかりではない。 きわめてシビアだが、それも一つの現実であり、日常起きているような過酷な死の現実も垣間見ることになる。

漫画という一つのフィクションを間に挟んで死の世界をのぞくことで、生へのリアリティーの強度が増すような気がする。

こうした漫画を描き、読者が読むこと自体が、静かに亡くなった全ての人、無念で亡くなった全ての人への、鎮魂にもなるのだろう。そこで思いを馳せることになるから。

死と生とは、分かちがたくつながっているようで分離しやすいもので、水と油のように単純には結合しない。

だからこそ異なるリアリティーを挟むことで、死と生とがうまく結びつくのかもしれない。そこに少しの工夫がいるのだろう。二つの世界はすみわけはあるが、分断しているわけではない。

漫画を介して、死を挟むことで自分の人生を俯瞰的に見たとき、

「あー、生きるってこと、散々やりつくしたなぁ!!」

と、清々しくと思えるような人生を送りたい、

と、漫画を読んで改めて思ふ。

漫画の世界には、多くの才能あふれる人たちが集っているなぁ。

bottom of page