高木正勝 ピアノソロコンサート イメネ(YMENE)
昨日は大好きな高木正勝さんのLIVEに。 2010年のピアノソロコンサート”YMENE"、一夜限りの再演。
なんと一列目だった。
高木さんのピアノは、一音聞いただけでも高木さんが鳴らしている音だと、わかってしまうほどだ。 なぜそういうことが起きるのだろうか。
それは人の声や声紋のようなもので、音楽の音にも固有の署名(シグナチュア)が刻印されているのだろう。 高木さんの音楽は、常にそういうものを感じさせてくれる。
今回はピアノソロ。本当に素晴らしいLiveだった。 高木正勝さんのあらゆる演奏スタイルを聞くことができる至福の時間。
Live(生きていて)で、Life(生命であり暮らしでもある)。
新鮮でピチピチとした弾けるような音の波動。
雲や水や火が常に動き続けて存在しているように、音が連続的につながっている。ある種の必然性と自然の法則によって。
音が音を呼びこみ、音の場をつくる。音の場も全体としてうねり、それがまた静寂へと落ち着いていく。 サイレンスからカオスを経てコスモスへ、そしてサイレンスへ。
学生時代から聞いているが、本質は変わらない。 ただ、高木さんのライフスタイルは大きく変わった。 今は奥深い自然の中で自給自足の暮らしをしながら、自然界の音の深い場所からメロディーを誘ってくるように、音楽を作り続けている。
映像作家としても著名な方だったが、自然の中に入ってからはあまりつくられていないとのこと。2010年にYMENEのLiveをされた時と、今のライフスタイルも大きく変わっていて、その違和感もご本人が口にされていた。それはとても分かる。映像は情報として固定化するが、作り手は変わり続けるからだ。
自分も、高木正勝さんと同じような場所に住んで、自給自足で暮らしや生きることを必死につづけながら、新しい医療をやりたいな、と思う。都市と自然との新しい関係性に向けて。
自然の中にお金持ちだけではなく、誰もが別荘を持つ。誰もが自然の中にも第二の家、Homeを持つ。 都会と自然とで生活のバランスをとりながら。
それは自然を奪うためではなく、自然を調整するために。
人類は、地球の調整役・モデレーターとして、生物や神の世界から要請され、生まれてきたのだと思う。
決して支配し、コントロールするためではなく。
そうした未来は、きっと自然や動物や植物や虫たちとも共生していく社会になるだろうから。
人類はエネルギーを消費しすぎている。消費には生産がセットになるはずだが、人類は自然から消費し続けるばかりで、自然にお返しができていない。
これからは、そういうことを真剣に考える時代になるし、そういう意味では芸術も医療も、あらゆるユニットが新たな組み換えを起こしながら、新しい社会や文化を創造する必要がある。
未来を具現し実践しながら、美しく深い音楽作品を創り続けている高木正勝さんの生き方は、大きな示唆を与えてくれる。今後も目が離せない重要な人物の一人だ。
次は僕らに何を提示してくれるのだろう。
音楽を通して、その奥深いところにも耳を澄ましている。
●高木正勝 Takagi Masakatsu - YMENE
●高木正勝「山咲み」I am Water / Takagi Masakatsu [DVD]
●高木正勝 ピアノ ソロ コンサート イ メ ネ Y M E N E 2017年9月1日 (金) 18:00 開場/19:00 開演 会場:めぐろパーシモンホール 大ホール
http://www.novusaxis.com/ymene2017