核と鎮魂
核廃棄物の最終処分研究施設「瑞浪超深地層研究所」(岐阜県)を見てきた。
ここは、あくまでも核廃棄物の最終処分の可能性の有望なひとつとしての「地下への地層処分の研究」をしているところであって、いまだ核廃棄物は処分の方法も、どこに置くのかも、すべてが未定の状態ですので、あしからず・・・。
地下500メートル!(東京タワー333mを逆さにしてもさらに深い)までの地下世界の調査をしているのは、日本でもここくらい。
岐阜県に、こんな巨大な深い人工的な穴があるとは、行くまで知らなかった。
年末12/9に田口ランディさんが中心となり京都で開催される「核と鎮魂 市民会議」でシンポジストとして出るので、その事前準備のため。
(もう少ししたら正式にアナウンスできると思います。)
現実を知らないと、地に足がついた話ができないから。 ただ、現実を知ることは同時につらいことでもある。
「瑞浪超深地層研究所」は、地下500メートルの世界。 人類が今まで到達していなかった世界。
地下へ地下へ、狭いエレベーターで下りながら思ったが、地球の立場から見ると、地下500メートルまで掘り進める人類の営みは、どううつっているのだろうか・・・。
地球の半球は6000㎞(6000000m=6千万m)なので、500mなんてほんの表面にすぎないのでしょうが・・・・。
核廃棄物を地下に埋める、というアイディアがいまのところ優勢らしい。
世界でもそうした現状のようだ。
ただ、実際に地下500メートルというとんでもない世界に行ってみると、人間がいる場所ではないな、というのが実感だ。
機械をオートメーション化させて地下深くに安全に配置するという話や、
数万年で天然ウランと同じくらいの放射能まで減衰するとか、
数兆円のお金がかかるとか、、、
結局作業には電気を使い、その電気を原発からつくると、ゴミを捨てるためにゴミが生まれるという悪循環。
すべてが現実離れしていて、頭がクラクラしてくる。
が。
思考停止や感情に流されず、理性をフルに働かせないといけない。
地下の世界では、当たり前だが地下水が出ていて、数万年前の水らしい。
恐竜が絶滅するより前の水。
けっきょく、水という存在の凄さを改めて実感した。
人類の動きと関係なく、水は太古から静かにこの地球を循環している。
核廃棄物の最終処分の方法も場所も、最初に原発が稼働して50年以上経つのにいまだに決まっていない。
見切り発車で進んだようだ。
きっとなんとかなるだろうと。
やれやれ。
なぜここまでボタンの掛け違えが起きたのか、、、、不思議なところだ。
ただ、物事には必ずそれなりの理由があるし、表面を見ていてもわからないものだ。
おそらく、合理的な理由ではない。
そして、個人の問題にして犯人探しをしても、解決しない。
これは人類が抱える、人類の悪い側面の集合体が行き着いた先の問題なのだ。
とにかく、僕らの世代が、上の世代のツケを払わないといけない。 さらに下の世代にも連鎖していってしまうから。
文句を言っても現実はかわらない。 人類の知恵を結集させて、この難局を乗り越えていかないといけないのだろう。
微細な穴に糸を通す精度で。
地下には水があるから生き物もいた。
生命の痕跡をみると、すこし心がほっとする。
ウランを分解する微生物も発見されているらしい。
地球の問題は、地球全体の協力を謙虚に仰げば解決するのであれば、核廃棄物を分解する微生物も誕生するかもしれない。
人類は、最終的には人類の祖先である細菌などの単細胞生物の生命から、救済されるのかもしれない。
細菌をふくめて、地球上の生命に人類が土下座して、協力を願う全国行脚して頼みに行きさえすれば。。。
地上に出て、カマキリと目があった。 カマキリのほうが、原発や資本主義よりも異常にリアリティーがあった。
微生物もカマキリも、人類の営みをどう思っているのだろうか。 きっと、やれやれ、だろう。
「瑞浪超深地層研究所」は見学会を定期的に開催しています。 頭ではなく、身体感覚として感じてみたい方は、ぜひ申し込んでみてください。
わたしたち人類は、こうした苦しく苦い時期を通過して、「陰極まって陽に転じ」ていかないといけないのでしょう。
自分は、そういう思いも込めて、Think the Earthに ●「いのち」を核とする未来社会へ
という文章を寄せました。
わたしたちが本当に大切にするべきもの、守るべきものは何なのか。
わたしたちの本当の「核(コア)」にあるものとは何なのか。
本質的には、そういうことこそが問われているのだと思います。
「いのち」の時代(The Age of LIFE)に向かう必要があると、自分は思っています。