金曜夜22時TBS『アンナチュラル』の素晴らしさよ
NHKのあまちゃんに熱狂して以降、TVドラマにご無沙汰になってました。
ただ。
ここ最近すんごくはまっているのが、金曜夜22時からTBSでやっている『アンナチュラル』。
めちゃくちゃ面白い!
一話完結の法医学ミステリー。
主演は石原さとみさん。演技がすばらしい!毎週引き込まれるように、ドラマを見ている。
あちらの世界に持っていかれるドラマ体験は、久しぶりの体験!
市川実日子さんが臨床検査技師役。
石原さとみさんとチームを組んでいるすごく重要な役だが、肩の力が抜けた自然な演技が本当に素晴らしく、全体の空気感を縁の下から力強く支えている。
時にはチームの意識にネジを巻いて意識を引き締める役を果たしたり、
時には張り詰めたすぎた意識の緊張を絶妙に緩和させて、関係性をまろやかにしたり。
複雑な網目の関係性をほどいたり結んだり、、、、
絶妙なバランスをつくる難しい役を好演している!!
他にも、井浦新さん、松重豊さん、窪田正孝など脇を固める方々の演技も素晴らしい。
完璧なチームプレーのフォーメーションでドラマ全体が構成されている。
稀に見るほどの質の高いドラマ!!
自分が何に一番感動しているかというと、ドラマで扱っているテーマ自体の深さだ。
2月23日金曜の放映では、いじめや自殺、が取り上げられていた。
こうした硬派なテーマを、死や死者の視点から、真面目に、それでいて本質からぶれずに描き出している番組つくりに、本当に感銘する。 繊細なテーマを正面から扱っているスタッフのみなさんに、深く敬意を感じる。
番組の中でもあったが、自殺は別の意味での他殺であると、自分も思う。
自殺せざるをえなかったひとたちは、きっと別の時代、別の文化、別の関係性・・・の中に生きていれば、死ななくてもよかった人たちだ。
「何か」の力が、生命本来が持つ「生きる」力を奪い、損なった。その結果、自殺せざるを得なかった・・・。
生まれてきたすべての人で、自殺を望んで生まれてきた人なんて一人もいないはずだ。
死を選ぼうと思ってしまうような社会、そんな社会自体が病んでいる。
生者の側は、よりよき社会のためにも、そうした死者が渡した思いをこそしっかりと受け取り、新たな生の様相をたちあげていかなければいけない。
それが、いま生きている、というものの役目だ。
ドラマ「アンナチュラル」は法医学がテーマだから、必ず死者が出てくる。 このドラマの中では、死の表面だけを見ていると見落とされる本質を、隠蔽されたベールをはがして探求する。
死者が生者へ渡そうとしたトーチを受け取ろうと、懸命に頑張る。
そこではシステムに屈服しない個の力こそが試されるのだ。
登場人物は、そうした葛藤の中でもがきながら、どんな闇の中でも一筋の光を求める。
その姿は、本当に気高い。高貴な人間の尊厳そのものだし、死者の鎮魂になっている。
とても深い番組。
こうした骨太な内容を、誰もが見れる一話完結のドラマに仕上げている力量には本当に感銘を受ける。
ぜひみなさんに見てほしいドラマです
自分も医療現場で働くひとりの人間として、常に胸を熱くして見ています。