三原和人「はじめアルゴリズム」
東大構内を自転車で走っていたら、合格発表のボードが掲示されていた。 20年前、自分のこの前に立っていたんだなぁ、と改めて懐かしく思った。
若者たちの夢や希望、そして悲しさ・・・そんないろんな感情の残滓が、空間にフワフワとまだ浮遊しているようだった。
死ぬ気で勉強した体験は、合否を越えて、その人を瀬戸際で支える力になると思う。
だから、必死で挑むこと、挑戦する姿勢が大事なんだよ、と。 ボードの前でうなだれている青年を見て(おそらく、自分の目で確かめに来たのだろう)、心の中で声をかけた。 すると、目があった。
大学受験のことを考えていたら、数学を思い出した。 あの時期は、ほんとうに数学が好きで好きでたまらなかったから。
三原和人さんの「はじめアルゴリズム」(モーニング)という漫画、面白い!
数学がテーマの漫画。
自分も中高のころは数学が一番好きだったので、共感できること多い。 勉強に疲れたら数学をして気分転換していた。 自分にとって、数学は将棋みたいなもので、頭の体操のように、頭のこりをほぐしてくれるものだった。
この漫画は数学のことなんてさっぱりわからない人でもすごく楽しめます。
「何かにはまる」「何かに一途になる」「無我夢中になる」 そういう純粋な心を思い出させてくれる良作です。 受験生も、そういう純粋な存在。
作者の三原和人さんも、数学者岡潔さんが好きみたい。
自分も岡潔さんの一般書は全部読んでるほど好きなので共感。(数学を介して「懐かしさと喜びを二元素とする心の哲学」を打ち立てようとした。「情緒」を数学に求めた。)
自然を深く追求する心、深く探求する心。
3巻が待ち遠しい!
絵の空気感が、一色まことさんの「ピアノの森」を思い出させる透明感です。