高橋望「平均律クラヴィーア曲集第1巻全曲リサイタル」
高橋望さんの平均律クラヴィーア曲集第1巻全曲リサイタルをルーテル市ヶ谷ホールに聞きに行く。 今回も客席は満員。
ほどよいリラックスで演奏は始まったが、2時間にも及ぶ宇宙空間のようなメロディーの海の中に放り込まれると、その旋律はまるで緊迫した手術室の中に入り込んだような、命をかけた緊張感があり、精密な生命の森の奥に入り込んだような世界だった。
時に瞑想的な曲調になると、すこしリラックスして体は緩む。 その後、高度な音階が続く時になると、一瞬の気の緩みが全体の調和の破綻になるので高い集中力が聞き手にも伝わる。針の孔を通すような集中力と技術力とで難所を乗り切る。
難行を果たす修行僧を共に見守るような心境で手に汗握る。
それでいて、バッハの音律はあくまでも超自然的な世界で宇宙の法則のように終わりなく続いていて、宇宙的な視点とそこに挑む人間との対比とが鮮烈でコントラストだった。
バッハの平均律クラヴィーア曲を、2時間一気に弾ける人がどれほどいるのか自分は知らないが(1時間で12曲、1時間で12曲で一度休憩は入った)、本当に素晴らしい演奏で、登山を同行しているかのように、自分も高峰を登って下山したかのような充実感に溢れる演奏だった。
いつも素晴らしい演奏をありがとうございます!勇気や希望をもらいます!
ps. このCDも発売されてます!めちゃくちゃ美しいCD!!!
<参考>