わたしたちの「プールサイド」
自分は、35歳を人生の折り返し地点と決めた。
というのも。 人生の折り返し地点は、自分自身で仮にでも決めないとわからないのだから。
80歳で死んだとすると、結果として40歳が人生の折り返し地点になる。 ただ、40歳の時にそのことを意識している人が、果たしてどれだけいるだろうか?
このことは、村上春樹さんの短編「プールサイド」(『回転木馬のデッド・ヒート』(1985年)収載)を読んだ後から自分なりに決めたこと。
もちろん、70歳以上に生きれば幸運であるし、あくまでも便宜的なものだ。それは縛り以上に、明確な目的と視座を人に与える。
35歳までは一方的に受け取る側だった。あらゆることを学んだ。 人生の折り返し地点である35歳からは、この世界から受け取ったすべてを与える側に回ろうと思ったのだ。
自分の活動は、こうした考えに裏打ちされている。
ひさびさに『回転木馬のデッド・ヒート』(1985年)を読み、あらためて思い出したこと。 いつ読んでも初見のように読めるのが不思議な素晴らしい短編集だ。『万引き家族』(是枝裕和監督)の記事(August 10, 2018)で引用した「ハンティング・ナイフ」という短編もこの本に収録されています。
「人はそのようにして、知らず知らずのうちに人生の折りかえし点を失っていくのだ。」 村上春樹『プールサイド』