松岡正剛「雑品屋セイゴオ」
松岡正剛さんの「雑品屋セイゴオ」(春秋社)を読んでいる。 面白い!
この本も、稲葉の「ころころするからだ」(春秋社)の編集を担当してくれた楊木(ヤナギ)さんが作られている。こんなにハイスピードで本を編集してひとつの作品に創り上げる手腕は、敏腕すぎる!
この本では、正剛さんならではあらゆるものへのこだわりが、これでもか、これでもか、と書かれ、ひとつひとつの物に対する記述が、普遍的な文明論にまでつなげて書いているところがすごい、としかいいようがない。
松岡正剛さんは、伝説の雑誌「遊」(工作舎)をつくられ(古書店で見ても、いまだに輝きを失っていない)、Web上で千夜千冊というディープな書評を書き続ける、伝説的な編集者であり、書き手でもある。本好きならば、本という物体そのものを愛する人であれば、誰もがひとつの目標とする方だろう。
最近は、角川ソフィア文庫から「千夜千冊エディション」が続々と発売されていて、自分も大学の書籍部でコツコツと購入している。自分は「情報生命」という巻が好き。
「雑品屋セイゴオ」では、ネットでは得ることのできない、触感や直感で選ばれ、愛されたものが紹介されていて、こちらの身体感覚にも強く訴えてくる本になっている。
この本の中で、「瓦」の語源はサンスクリット語の「Kapala」で、これが「かわら」という発音になったと書かれていた。 kapala(迦波羅)は、皿、鉢、骨、頭蓋骨、などの意味だったらしく、仏教と共に伝来。 そのことは日本の建築にも大きな影響を与え、屋根の曲線としての「てり(照り)」「むくり(起り)」という造形へとつながっていると書かれてあった。
「てり(照り)」「むくり(起り)」に関しては、正剛さんの他の本にも書かれていて(たしか、「侘び・数寄・余白 アートにひそむ負の想像力 (連塾 方法日本) 」これも春秋社!)、うぅんとうなったものだった。
「あはれ」「やつし」「おもかげ」「うつつ」など、日本の引き算の美学として。
話が脱線。 やはり、松岡正剛さんは、知の巨人であり、同時に酔狂な方だ。
一条真也さんのブログとともに、松岡正剛さん千夜千冊Webも、必ずチェックしている。