齋藤陽道 写真展「感動、」@東京都人権プラザ
齋藤陽道(はるみち)さんの、写真展「感動、」@東京都人権プラザ、を見てきた。 やはりやはり、素晴らしい写真展。
一部屋の空間なので、何周も何周も、バターになるんじゃないかと思うくらい何周も何周も回って、写真を浴びた。
陽道さんの写真の何がいいのか。 光は特にいい。捉えている瞬間もいい。余白もいい。
一番いい、と改めて思ったのは、写真を支えている背景にある場や空間のようなものが、ほぼ同質に大切のものとして、とらえられていることだ。
これは何とも表現しがたい。 背後への眼差しとでもいうべきか。 それは、撮られる人やモノの生い立ちや関係性や歴史、そうしたものへの敬意ある眼差しが、なんとも言えず入り込んでしまっている写真とでもいうべきか。
多様性と言葉で言うのは簡単だ。 しかも、写真展は東京人権プラザだ。 人権というのは、どんな人にも、生きる権利というものがあり、その前提や多様性を尊重しましょう、ということ。
頭でわかっているようでも、自分と異なるひと、特にかなーーり異なるひとと出会うと、たいていの人はたじろうでしまう。 もちろん、たじろぐのは悪いことではない。それは生理反応かも本能的な反応かもしれない。 でも、その上で、相手を受け止めること。受け入れること。それが多様性への理解の一歩だ。
相手を理解しようと思う心。
一つの長い人生という道のりを別々に歩む人間としては同じだ。同じ点、分かり合える点で相手の人生を受けとめ、受け入れることができるかということ。いま急速に変化する社会だからこそ、根底こそが求められる。
陽道さんの写真からは、そうした眼差し、そしてそこで生まれるためらい。
それは相手との距離そのものなのだが、そうしたものがにじみ出てているのだ。
冒頭に書いてあった陽道さんの文章も素晴らしかった。 「言葉」というひとつの世界に対してもほんとうに敬意と距離をもって接している人なのだ、と改めて感じる文章だ。それが文体となる。
自分は、陽道さんの写真も好きだが、文章も好きだ。その異なる二つの世界に、溝がない。水が還流するように、互いが行ったり来たりできる融通さが、ある。
「感動、」の八つ折チラシも、なぜか無料!でいただけるし、しかも観覧も無料、で、驚きました。おそるべき、東京人権プラザ。
子どもが遊ぶ空間が、隣の部屋にあり、そこのおもちゃでもかなり遊ばせてもらいました。笑 あと、日曜はやっていませんので、ご注意を。
3月末まで。芝公園の近くです。ぜひ行ってみてください!
P.S. 自分の単著である『ころころするからだ』(春秋社)も、お薦めする本のひとつにおいてあり、うれしかった(し、同時に照れくさかったー。自意識過剰か!?)
============ 齋藤陽道写真展「感動、」 会期 2019年1月19日(土)から3月30日(土)まで (注)日曜は閉室。祝日は開室。 開室時間 9時30分から17時30分まで 会場 東京都人権プラザ 1階 企画展示室 東京都港区芝2-5-6 芝256スクエアビル 1階