シュタイナーやゲーテ
シュタイナーは、「神秘学を学ぶ意味は、死者との結びつきを持つためだ」と言った。
シュタイナー『シュタイナーの死者の書 (ちくま学芸文庫)』によると、
なぜシュタイナーが死後の生活を詳しく述べるかというと、我々が死者の存在を確信できるようにするため。
死者からの恩恵を受けていることに気づき、死者たちに自分から何ができるのかを考えることが、われわれの人生での大事な務めになる。
あの世では、物質的な世界の情報は一切受け取れず、地上の言語も、イメージや感情がそれに伴わなければ、死者には通じない。地上の言語は物質空間の中でのみ響いている。
シュタイナーは、死者をイメージすることを非常に大切にしていた。
死者に対する生者からの働き掛けは、眠っている時にも生じる。 死者への問いかけへの答えは、翌日思いがけない形で出てくると言う。 自分の心の奥底から、素晴らしい思いつきが生じたとすれば、それは死者からのメッセージだと。 自分の存在の一番核心の部分から聞こえてくるものが、死者の声だという。
死者に対する愛情をもって眠ると、死者はそれをまるで美しい音楽のように聞き取ることができるという。
そうなってくると、生者も死者もなく、一体となって世界を構成しているのだということを思い出せるだろう。
エッカーマン『ゲーテとの対話』 「私にとって、霊魂不滅の信念は、活動と言う概念から生まれてくる。 なぜなら、私が人生の終焉まで休みなく活動し、私の現在の精神がもはやもちこたえられないときには、自然は私に別の存在の形式を与えてくれるはずだから」
シュタイナーはゲーテ研究者でもあったから、ゲーテも気になって、ぱっと開けて読むと、こうした一節が目に飛び込んでくる。
こどものときから、死にあまり違和感なく接していると、死というブラックホールは、それこそ自分の影のように一体として常にここにいるのではないかと、思う。
8月はお盆。死者と生者がもっとも接近する時期。
だから、こうしたことをふと、思うのかなぁ。
そもそも、読書と言う行為自体が、死者との対話のようなもので、実は日常的なことでもあるのだから。