ONJQ Live@新宿PITINN
8月14日、新宿PITINNにて大友良英さんのONJQ(Otomo Yoshihide's New Jazz Quintet)Liveに行った。
2日目は、カヒミカリィさんがゲストで登場され、さらにサプライズ飛び入りで熊谷和徳さんのタップダンスもあり、衝撃的なLiveとなった。
カヒミさんは、たたずまいがすでに別格で作品のようだ。息と波動との結果として漏れ出てくる声は、カヒミさんにしか出せない固有の音で、しびれた。
飛び込みの熊谷さんは、Eric Dolphyのカバー(だったと思う)にどうタップをあわせるんだろうか、と思ったが、あわせるというよりも、ぶつける、対峙する、対決する、という感じで、火花散る共演がすごいエナジーを放射させていた。
Duke Ellingtonの「Money Jungle」で、チャールズ・ミンガスとマックス・ローチと三人が肉弾戦のようにぶつかり合いながら奏でるピアノ・トリオを思い出したのだった。
ONJQ単独の音楽も、音の嵐の中に浸っていると、時に台風の目の中にいるような静けささえ感じられるから不思議なものだ。そして、その爆音と静寂との奇妙な空間でふと思い出したことがある。
自分は、心臓の治療で極度に集中力が高い状態になり、かつ危機的な状態に遭遇したとき、ああ、もうダメかも、と諦めそうな心が現れそうになるとき、今まで聞いた膨大な音楽の総和のような重低音が心の深部からドンドンドン・・・とリズムとして鳴り響いてくることがある。深い森の奥から聞こえてくるようで、不思議なドラミングが地鳴りのように鳴り響き、自分の心が前へと進んでいく推進力を得ることがある。ああ、いまこうして聞いている音楽は、自分の生命の奥底で、危機的状況の時に引き出しから解き放たれ、前へと進む必要があるときの推進力として奥深くしまわれ、蓄えられているのではないかな、と。だから、人は無意識に音楽を求めるのかもしれないな、と。
異界からやってきたような大友良英さんのギター、類家心平さんと今込治さんの全細胞の息が吐きだされるようなトランペットとトロンボーン、水谷浩章さんの心臓の鼓動のように脈打つベース、芳垣安洋さんの空間を脳天からかち割るようなドラム。
互いが牙をむいて挑みかかり、急所を狙いあうような動物的な演奏に、会場にいた誰もが異界へ連れていかれただろうと思う。実際、意識が現実世界に戻ってくるのにかなり時間がかかったほどだ。
やはりLiveは素晴らしい。新宿PITINNは素晴らしい。
P,S,
新宿PITINNの壁チラシで見たけど、第18回 東京JAZZには、カマシ・ワシントンも、チック・コリアも来るんだなぁー。行きたいなぁ。