野村庄吾『乳幼児の世界―こころの発達』 (岩波新書:1980年)
0歳頃は、自分と養育者とが一体化していた場所から、世界を見ている。 3歳頃は、自分中心の視点は変わらないが、3つくらいの経路を介して世界を見ている。 5歳頃になると、自分と相手の通路だけではなく、自分以外の人たち同士も、それぞれが独自の関係性を持っていることが分かりながら、世界を見ている。
こういうことは、0歳、3歳、5歳だけではなく、40歳の今でも、常にこうした視点の移動は起き続けながら生きているような気がする。
最初は、自分だけではなく誰かの視点や意見(気づきもしない)が重なった視点で見ている。 次に、自分なりの視点で見ることができるようになる。ただ、それでもせいぜい3つくらいの経路でしか見れていない。 もう少し成熟すると、自分以外にもあらゆる視点が同時存在しながら、かつそれぞれの視点同士も関係性を持って分かちがたく結びついていることが分かるようになる。
日々、こうした新しい視点の発見を忘れないようにして、毎日を新しく生きていきたいものだ。
新海誠監督の映画「天気の子」を見て、ふと思い出したので再読。
わたしたちがどのように成長してきたのか? それは決して過去の関係ない話ではなく、今この瞬間にも起き続けていることなのだと思う。
野村 庄吾『乳幼児の世界―こころの発達』 (岩波新書:1980年)