「オイディプス」@シアターコクーン
渋谷Bunkamuraのシアターコクーンでオイディプスを観劇。
ギリシア悲劇の古典中の古典をかなり大胆に現代的解釈で再編集し再構成していて、それでいて神話自体の本質からはぶれていなくて、素晴らしい作品だった。場面提示を巧みにシャッフルすることで、神話を現代ドラマのような舌触りで鑑賞できる。よくもまあここまで緻密にプロットを作れるな、と驚いた。
市川海老蔵さん、黒木瞳さん、森山未來さんが宣伝上では表に出ていたけど、脇を固める役者も凄腕ばかり。
ダンサーも多く、身体での無言のムーブメントが、非言語的な情感やムードを巧みに演出していて、見事だった。
主演の海老蔵さんも含め、キャストが完璧な配役でチームとしての全体性の素晴らしさを感じた。 劇的な演出に感動もしたし、演出や脚本の作り方の勉強にもなった。
ギリシア神話の現代的解釈では最高レベルの作品だろうと思う。自分の無意識も深くかき立てられるものがあった。精密で精巧な作品を熱を持って体験したという感じだ。
親子は運命の関係。そこには選択がなく、意志と無関係。
それに対して、夫婦には両者の意志がある。
親子と夫婦の関係には、「運命」と「意志」という相反する力が同居する。「おのずから」と「みずから」と言ってもいい。そうしたことは一人では生きていけない人間には永遠のテーマであり続けるだろう。
橘さんと観劇後、終演後の楽屋で出演されてた湯浅永麻さんに挨拶。ハナレグミの崇さんとの再会にも驚いた!
永麻さんの動きはやはり群を抜いてたなあ。ダンサーの起用が作品の幅を広げていたのは間違いない。海老蔵さんの歌舞伎的な身体性や台詞まわしのリズムもよかった。
是非観に行ってほしい公演です!
もう永遠に再演されない奇跡的なキャストだろうなぁ。
Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019 DISCOVER WORLD THEATRE vol.7「オイディプス」
2019年10月7日(月)~27日(日)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
原作:ソポクレス
翻案・演出:マシュー・ダンスター
翻訳:木内宏昌
美術・衣装:ジョン・ボウサー
振付:シャーロット・ブルーム
出演
市川海老蔵、黒木瞳、高橋和也、中村京蔵、谷村美月、市川新十郎、内田淳子、冨岡弘、武元賀寿子、
今里真、市川新八、天野はな、小谷俊輔、加藤亮介、柳本雅寛、市川福太郎、湯浅永麻、平原慎太郎、
笈田ヨシ、森山未來
池田葵☆、桑名萌々花☆、髙畠美野★、鳥羽瀬璃音花★
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