<書評>西平直「養生の思想」(春秋社、2021/4/20)(評者:稲葉俊郎)(じんぶん堂 powerd by 好書好日)
朝日新聞社の「好書好日」内でお届けする、人文書の魅力を伝えていくサイト「じんぶん堂」。
こちらに、西平直「養生の思想」(春秋社、2021/4/20)の書評を書きました。
→Web
病院に変わる場所となる「養生所」を全国に作っていきたいと思ってます。それは銭湯や温泉、美術館やギャラリー、飲食店、神社仏閣など、自由に発想していいのではないかと思ってます。
そんな「養生」を改めて考え直す本です。
貝原益軒の「養生訓」(1712年)(貝原益軒が亡くなる前年83歳の時に書いた江戸時代のベストセラー本)の紹介もあります。
こちらの書評は「上」なので、いづれ「下」もWebで出ます(もったいぶってますね!)。
ぜひお読みください~。
●【Web】2021/6/10:いささかに。心地よく。益軒の脱・完璧主義が照らす、私たちの健康とは? ――今こそ紐解く〈養生〉(下) (6/10に追加されました)
<書評>西平直「養生の思想」(春秋社、2021/4/20)(評者:稲葉俊郎)
自分が『養生の思想』の書評を書いた時とほぼ同時に、朝日新聞読書欄に横尾忠則さん!による同じ本の書評が!
こういうシンクロは、横尾さんとはよく起こるのです。どこかの回路がつながってるようで、嬉しいなぁ。
最後の
「芸術も、何を描くか、如何(いか)に描くか、ではなくどう生きるかであると考える私は、そこに医学と芸術が共有する思想があるように思えるのですが。」
まさに同感です。
同じ思いで、医療現場にも、芸術祭などにも、取り組んでいます。
●「養生の思想」書評 自己形成の実践 極めず自然に
評者: 横尾忠則 / 朝⽇新聞掲載:2021年05月15日
→Web
西平先生は世阿弥やシュタイナーの本もたくさん書かれてるお方で、光栄でした~!
(書評 本文より)
対話する未来――西洋医療と養生思想
西洋医療と養生との考えや対応の違いは、客観と主観という立場や視点の違いと言ってもいいだろう。それは科学と宗教の違いとも似ている。そうした異なる立場は反発しあうものではなく補い合う関係にあるものだ。医療はまさに客観と主観とが重なった領域を扱う最たるものだ。
養生法のような「主観」を扱う世界と、現代医学のように「客観性」や「エビデンス(客観的な証拠)」を大切に扱う世界が交わるためには、互いの世界を閉じずに開きながら、互いの共通点や普遍性を探っていくことも重要である。「違い」を強調することでそれぞれの立ち位置や独自性を主張することも多かったが、これからの知の在り方は「共通」点を探していくことで「普遍性」へと至る段階に来ているだろう。インターネットでの情報革命などで、叡智が開かれて共有されるものへと移行してきた時代の必然である。本書でも、明治維新以降に漢方医(「養生」において重要な役割を担う)が西洋医にすべて置き換わってしまった背景として、漢方医が師弟関係や秘密主義など狭い世界に閉じられていたばかりに、その閉鎖性が社会で問題となった点も挙げられていた。
こちら西平直「養生の思想」(春秋社、2021/4/20)、実は三部作で、
もあり、すごく面白かったです!!!意欲作!労作!!!
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